仏像を彫る~愛染明王~
こちらの作品、絵画教室に通う生徒さんのだんなさんが作った愛染明王です。けっこう大きいんですよ。
迫力満点!
これだけのものを根気よく彫り進んでいくというのは、なかなか出来るもんじゃないです。
何年か前、「左右のバランスがうまくいかない…」というので、メールのやり取りや、実際に教室に来てもらって、自分の分かる範囲でお手伝いさせてもらいました。
そんなに大した助言でもなかったのですが、基準の設定や、そこからポイントとなる座標を設計図に記す事、又、トースカンの様な道具の紹介もしたでしょうか…
それから独学でコツコツと鍛錬されて、ここまでのものを作られた訳です。
「モノよりコト」と言われる様になり、「コト消費」に注目が集まって久しいです。
教室をやっていて思うのですが、確かに「体験してみたい」という人は増えてきているのでしょう。
ただ、やはり「コト消費」と言われるだけあって、消費して終わりな気がしてならないんですよね。
モノの大量生産じゃなく、コトの大量生産みたいな。
でも、自分が目指しているのはそこじゃないな…と感じるのです。
やっぱり、一つの事をやり続けて形になっていくものには独特の「美しさ」があります。
「体験」だけでは出せるものではありません。
「楽しかった」で作れるものでもありません。
膨大な時間を費やし、苦しい時期も乗り越え、にじみ出てくるもんだと思うんです。
「昭和のスポ根か!」と突っ込まれそうですが(笑)、自分はそういうのが好きです。
だから、体験だけで終わる教室にはしたくないな…と思っています。
実際に通ってもらっている生徒さんの作品は、技術の差はあっても「どこに出しても恥ずかしくない!」と思えるものになるまで、いちゃもんつけてます(笑)
なので、みなさん一つの作品を作るのにかなり苦しんでおられます。
それが良いのか、悪いのか、感じ方は人それぞれですが、自分はそれが良い!と思っています。
そういう苦しみが、最終的に「美しさ」に変わると考えていますし、見る人に感動を与えると考えています。
「道」という考え方でしょうか。
入り口はもちろん「体験」ですが、そこからその道を進んでいける人がたくさん増えると良いなぁ…と、改めて感じる事になった一つの作品でした。
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